英語の発音は、子音よりも母音。フォニックスで戦略的に学習する。


はじめに:なぜいつまで経っても聞けない&通じないのか

単語帳を音読している。
リスニング対策もしている。

それなのに、英語が「聞こえない」「通じない」。

こんな違和感を抱えたことはありませんか。

多くの受験生は、ここでこう考え始めます。
「自分は発音センスがないのかもしれない」
「英語は向いていないのかもしれない」
「発音は捨てよう」

しかし、この結論は少し早いです。

実はこのつまずき、多くの人にとっては母音ではなく子音を中心に勉強してしまっていることが原因かもしれません。

本記事では、

  • なぜ多くの人の発音練習が噛み合わないのか
  • 受験英語において、どこを最初に押さえるべきなのか
  • 今日から何を変えればいいのか

を、根性論ではなく構造の話として整理します。


なぜその発音練習ではうまくいかないのか

多くの人が無意識にやっているのが、次の学習です。

子音をきれいに発音しようとする
r と l、b と v、th の違いを頑張る

もちろん、間違いではありません。
ただし、順番が違います。

先に取り組むべきは「母音」です。

日本語と発音が違うのはほとんど「母音」

英語は、日本語よりも母音の数が多く、音の幅が広い言語です。

日本語の母音は基本5個。
英語の母音は、一説には16個あります。

例えば、日本語ではアという発音であっても、複数の種類があります。

にもかかわらず、私たちは5個の母音でローマ字読みをします。
ローマ字読みをしてしまうからこそ、いつまで経っても相手の発音が聞き取れないままなのです。

私たちがLとRを聞き間違えても、何となく聞き取れはするし、相手もなんとなく察してくれることが多いです。
しかし、アの音を間違えると何を言っているのかわからなくなる確率は格段と上がります。

「母音」が違うと後で詰みやすい

語弊を招くかもしれませんが、子音の発音を間違えても後から挽回はしやすいです。

なぜなら、スペルをみればLなのかRなのかの区別がつきます。

しかし、aがどの発音なのかはなかなか区別がつきにくいです。

一度間違えて覚えてしまった際の後から矯正する難易度は、母音の方が圧倒的に高いです。

では、母音と子音をどう学べばいいのか

ここまでで、

  • 多くの人は子音から入ってしまい、順番がズレている
  • 日本語話者にとって最大の壁は「母音」にある

という構造が見えてきました。

そうなると次に出てくる疑問はその勉強法でしょう。

「母音が大事なのは分かった。でも、どうやって勉強すればいいのか?」

ここでおすすめしたいのが、フォニックスです。


フォニックスとは何か

フォニックスとは、英語の文字(つづり)と音の対応関係を整理した学習法です。

具体的には、「このアルファベットやつづりが、この位置・この組み合わせで使われたとき、どんな音になりやすいか」を体系的に整理し、
英単語を感覚ではなく予測可能な音として処理できるようにするための学習方法を指します。

よく、

  • 子ども向けの発音練習
  • スピーキング用のトレーニング

と思われがちですが、それは一部しか捉えられていません。

本来のフォニックスは、

  • このつづりは、どんな音になりやすいのか
  • 母音がどう変化するのか
  • どこに音の重心がくるのか

を、感覚ではなく構造として理解するためのものです。

つまり、
「ネイティブっぽく話すため」ではなく、
「英語の音を正しく認識するため」の道具。

体感や経験に偏らずに、理屈でもって学ぶことができるため、
学習時間をショートカットすることができます。


なぜフォニックスは、母音重視の学習と噛み合うのか

理由は単純です。

フォニックスは、
母音を中心に音のパターンを整理しているからです。

たとえば、

  • a が /æ/ になる場合
  • a が /ei/ になる場合
  • 母音が2つ並んだとき、どちらが音の主役になるのか

こうした違いを、
単語ごとの丸暗記ではなく「ルール」として扱います。

これは、

  • ローマ字読みから抜け出したい
  • 音とつづりを結びつけたい
  • 初見の単語でも音の予測をしたい

という受験生の課題にとって最高の武器となります。


フォニックスは「発音練習」ではなく「認識トレーニング」

フォニックスを学ぶ目的は、
きれいに発音できるようになることではありません。

目的は、

  • 聞いた音を、文字として認識できる
  • 見た単語に、音のイメージが伴う
  • 音・意味・つづりが同時に立ち上がる

この状態をつくることです。

結果として、

  • リスニングが楽になる
  • 単語が覚えやすくなる
  • 音読が「作業」ではなくなる
  • 発音が上手くなる

という変化が起きます。

発音は「目的」ではなく、
認識が整った結果として自然についてくるものです。


フォニックスは「動画」で学ぶのがおすすめな理由

フォニックスを学ぶ際に、特におすすめなのが
口元が映っている動画教材です。

理由は明確です。

英語の母音は、

  • 口の開き方
  • 唇の形
  • 歯の位置

で音が大きく変わります。

文字や音声だけでは分かりにくい差も、
口の動きを見ることで一気に理解しやすくなります。

特に日本語話者は、

  • 母音を「同じ口の形」で処理しがち
  • 無意識に日本語の5母音に寄せてしまう

という癖があります。

そのズレを修正するには、「音」+「口の動き」をセットで確認するのが最短ルートです。

完璧に真似する必要はありません。
「こういう口で、この音が出ているんだな」と分かるだけで十分です。


具体的な使い方(やりすぎないのがコツ)

フォニックスで重要なのは、やり込みすぎないことです。

範囲

  • 1回の学習あたり、母音ルール1〜3個まで
  • 少なくとも16個の母音を抑えれば上出来

それだけあれば、基礎としては十分です。
子音や応用的な学習は、目標に合わせてカットするのもありです。

時間

  • 15〜30分程度

やること

  1. 発音ルールを動画で確認する
  2. 例単語を2〜3個見る
  3. 改めて動画で音と口の形を確認する

※ノートにまとめる必要はありません。
※発音テストのように自分を追い込む必要もありません。

到達水準

  • 発音記号をみた際に、発音ができる
  • 「このつづりなら、この辺の音かな」と予測できる

これだけで十分です。


よくある誤解:「フォニックスは遠回りでは?」

確かに発音を覚えずに単語帳を回した方が「勉強している感」は出るかもしれません。

しかし、

  • ローマ字読みのまま単語を覚える
  • 音と意味が結びつかない
  • リスニングで聞き取れない

という状態が続いてしまいます。
そして、勉強をすればするほどその負債は大きくなっていきます。

フォニックスは即効薬ではありません。
ですが、

  • その後の単語学習
  • リスニング
  • 音読

すべての土台を整える、非常にコスパの良い工程です。


まとめ:発音を捨てる必要はない。順番を戻せばいい

英語の発音で悩む多くの受験生は、

  • 努力が足りないわけでも
  • 才能がないわけでもありません。

ただ、入る順番が違っただけです。

子音の前に、母音。
感覚の前に、構造。

その入口として、
フォニックスを「動画で、軽く」使う。

まずはそこからで十分です。

この単語の母音は、どんな音で、どんな口で出ているのか。

その問いを持つだけで、
英語の聞こえ方は確実に変わり始めます。