なぜ学校は文法ばかりやらせるのか

目次
はじめに:今日も全国で分厚い英文法書が開かれている
「なんで英語って、こんなに文法問題ばかりやるんだろう」
長文を読みたいのに、実際の授業は穴埋め、並び替え、四択問題の演習と解説ばかり。
学校では実践的な英語というよりも、正解を選ぶ訓練ばかりしている気がする。
多くの受験生が一度は抱く違和感です。
ここで大事なのは、「学校が間違っている」と感情的に結論づけないことです。
学校が文法中心になるのには、ちゃんと構造的な理由があります。
そして問題は、それがあなたの合格に近づくとは限らないことです。
この記事では、
- なぜ学校は文法を中心にするのか
- それは何を鍛える設計なのか
- 受験で本当に必要な力とのズレはどこにあるのか
- では、自分はどう設計し直せばよいのか
を冷静に整理します。
なぜ学校は文法問題をやらせるのか
学校が文法を重視するのは、
英語教育を軽視しているからではありません。
理由は主に3つあります。
客観的に採点できるから
文法問題は、正誤が明確です。
- ○か×か
- 4択でどれか
- 配点が均等
これは教育現場にとって非常に重要です。
40人のクラスを公平に評価するには、
採点の揺れが少ない形式が必要です。
長文読解や英作文は、どうしても曖昧な解答が生まれる可能性があり、教師からすれば負担になりやすいです。
つまり、文法は「管理可能な学習単位」なのです。
教えやすく、進度管理しやすいから
文法は体系化されています。
- 現在完了
- 仮定法
- 関係詞
単元が明確で、カリキュラムに落とし込みやすい。
一方で、
- 文章理解力
- 読解スピード
- 情報処理力
これらは“目に見えにくい能力”です。
伸びているのかどうかも測りづらい。
制度として運営する以上、「見える単元」が優先されやすいのです。
土台としては確かに重要だから
文法は必要です。
文法がなければ、英文の構造は読めません。
英語を教える先生方は皆英語が比較的学生時代に得意だった先生方ばかりです。
英語が得意な人は基本的に英文法も得意で、英文法の基礎的な知識が自身の学力向上につながった成功体験を持っている方も多いのです。
学校設計と入試設計の違い
しかし受験となると問題が発生します。
学校の英語設計と、入試の英語設計は完全には一致していません。
学校設計
- 単元進行型
- 公平評価型
- 知識定着型
- 再認中心(見ればわかる)
入試設計
- 実戦処理型
- 情報処理速度型
- 文脈理解型
- 想起中心(自分で構築する)
簡単に言えば、
| 観点 | 学校 | 入試 |
|---|---|---|
| 単位 | 1文 | 1段落〜全文 |
| 思考 | 正誤判定 | 意味構築 |
| 評価 | 点数の安定 | 処理の総合力 |
学校は「管理の合理性」で動きます。
入試は「選抜の合理性」で動きます。
合理性の種類が違う。
この違いが、英語の勉強において優先されるものの違いを生みます。
学校を否定せず、役割を分離する
大切なのは、学校を否定することではなく、役割を分けること。
学校の文法授業は基礎づくりにおいて十分すぎるほどの情報を扱っています。
しかし、残念ながら効率性の観点でみれば、改善の余地がある文法授業になってしまっている学校があるのも事実です。
やめること
- 文法が完璧になるまで長文演習をしないこと
- 文法問題の正答率=英語力と考えること
捨てること
- 100%理解してから進む発想
- 「まだ基礎が足りない」という無限ループで学習設計をする
学校の文法授業を受けると、基本的には文法の勉強をしすぎな状態になります。
そうなると
具体的なやり方
ではどのように学校の授業と自習を両立するか。
そのやり方をいかにまとめます。
文法の扱い方
- 学校でやった範囲を復習する
- 1単元につき問題は10〜20問で十分
- 正答率70%を超えたら深追いしない
「完璧」を目指さない。
同時並行でやること
- 週に最低3回、長文に触れる
- 最初は易しめでOK
- 1題15分以内で読む
精読よりも文章慣れをすることが目的です。
到達基準
ここまでできれば十分です。
- 文法問題で7割以上安定
- 長文で主張を言語化できる
- 多少わからなくても読み進められる
よくある誤解への回答
「でも共通テストにそもそも文法問題でないですよね?」
たしかにセンター試験時代にあった文法問題形式はなくなりました。
しかし、長文の中で英文法の運用能力を問われる内容はまだあります。
実際重要なのは、解く英文法ではなく読む英文法です。
「基礎が固まってから応用では?」
順番が逆です。
基礎はアウトプットする中で定着します。
閉じた問題だけで固めようとすると、実戦で使えない知識ばかりが身に付きます。
まとめ
学校が文法ばかりやらせるのは、
- 採点しやすいから
- 管理しやすいから
- 土台として重要だから
合理的な理由があります。
しかし、その設計がそのまま合格に繋がるとは限らない。
あなたが伸びないのは、努力不足ではありません。
制度設計と個人に求められる戦略が分離していないだけです。
今日から意識することは一つ。
学校の文法は“土台”と位置づけ、
別に“文章処理の時間”を確保する。
否定ではなく、分離。
設計を分けた瞬間、英語の伸び方は変わります。

