元数学嫌いが、数学嫌いのために、数学を整理してみた。

皆さんは数学が嫌いですか?私は嫌いでした。なぜかというと数学を学ぶ意味を理解していなかったからです。

しかし、少し頭の使い方を変えて理解した結果、すぐに数学アレルギーは解消しました。

中学レベルの数学をマスターすることは、成績を上げるだけではなく、人生を豊かにすることにも直結します。

今回は、主に方程式という分野を用いて数学をなぜ勉強するのかを数学嫌い向けに数式をなるべく使わずに紐解いていきます。

方程式で、体重の増やし方を考える

みなさんは、方程式を覚えていますか?早速前言に反する形で数式を出しますが、算数・数学アレルギーの皆さんは、ほんの少しだけ我慢してください。

これが何をしようとしているのか、この章を読み終わればなんとなくわかります。
次の段落でまず答えを書いたあとに、解説をしていきます。
次の段落は「ふーん」と30%くらいの能力で理解できれば大丈夫です。

【方程式がやること】
①Yという最終的な結果を求めるために、要素を抽出する
②定数と変数を分けている
③係数をかけている
④条件次第で変わる未知の部分を別の記号に置き換えている

さて、ちんぷんかんぷんになったと思うので、具体例を交えて解説していきましょう。
具体例としては、皆さんが一度は気にしたことがあるであろう、体重とします。
一旦、あなたは体重を50KGから60KGに増やしたいAさんだと思って読み進めてください。

Aさんは、体重を60KGに増やすために、体が何でつくられているかを考えました。

Aさん
「ええっと、まず脂肪と筋肉があるね。あとは血とかの水と骨か。他にも髪の毛とかはあるけど、流石に考えなくて良いか。ネットで調べた感じ、どうやらそれぞれこんなもんらしいな。」

大きく4種類の要素が体重に影響を与えていると考えたようです。

Aさん
「このうち、私が変えられるのは、筋肉と脂肪か。水分と骨は流石に健康を考えると、流石にそこを変えようとするのはダメか。」

Aさん
「筋肉と脂肪を増やす食べ物っと。おっ!このスペシャルフード『ムキムキくん』を食べれば、1日1食だけで筋肉が300g・脂肪が200gつくらしいぞ!早速買おう!」

Aさん
「さて、目標の60KGになるには、何個買う必要があるんだろうか」

はい、ここまでの流れが【方程式がやること】の具体例です。
皆さんも実生活でAさんのような考え方をすることがあると思いますが、この考えは方程式を立てることと全く同じような頭の使い方をしているのです。実際に【方程式がやること】に当てはめてみましょう。

【方程式がやること】
①Yという最終的な結果を求めるために、要素を抽出する
→体重60KGという結果を求めるために4つの要素を抽出する

②定数と変数を分けている
→どうやっても変わらない骨と水(定数)と変えることができる脂肪と筋肉(変数)に分ける

③係数をかけている
→1食ごとに筋肉は0.3KG、脂肪は0.2KGと違う勢いで増えることを考慮する

④条件次第で変わる未知の部分を別の記号に置き換えている
→何食食べるかという未知の部分を別の値で置き換える

このように、最初に挙げた式はダイエットや筋トレをする際に、私たちが普段するような考え方を数字の式で表したものといえます。

ちなみに、Aさんが60KGに体重を増やすために考えたプロセスは以下のような形であり、計算すると20日後に体重が60KGに乗る計算となります。※計算は今回できなくて問題ないですし、以下の式も覚える必要はありません。

数学は問題を解決するために存在する

ここまでを読んで、初めて方程式が何をやっているかを立ち止まって考えてみたという方も多いのではないでしょうか?

小学校の算数から高校卒業までの9年間をかけてわざわざ習うわけですが、実は数学は「世の中で起きている問題を解決する」力を養うために行っているのです。

これから先、皆さんは家庭内外で数えきれないほどの問題に直面するでしょう。その際に、成功確率が高いとされる論理的な問題解決の仕方を理解するために、数学はカリキュラムに組み込まれているのです。
ただ、どうしてもその背景を理解しないまま苦行を強いられることで、皆さんは残念なことに数学アレルギーになってしまっていたのです。

USJを復活させたマーケターの森岡毅さんも、初耳学というテレビ番組にて、問題解決の側面から数学を学ぶことの重要性を語っています。

もう一段階進んで、数学を整理してみる

数学が問題を解決のためのツールであることがわかったところで、方程式についてもう一段階理解を深めてみましょう。

先ほどは、体重が60KGまで増える関係性を以下のような式で、簡易的に表してみました。

しかし、こんなに単純に体重が増えるものでしょうか?
実際に関係性を真面目に式にしようとすると、例えば以下の式のようなよくわからない式になってしまうことの方がしばしばです。
※なんか最初のXの右上に2がついているくらいの認識でOKです

Xに2がつくという、非常に厄介なことが起きてしまいました。なぜそんな面倒なことをしたのでしょうか。しかし、これには理由があるんす。筋トレの例に沿って解釈してみましょう。

Aくん
「『ムキムキくん』を食べれば20日間ずっと一直線に同じ感じで、体重が増えるって、おかしくない?昨日の体と今日の体は違うんだから、増え方が違うでしょ。」

Aくんは中々鋭いですね。そうなんです。世の中の物事が昨日も今日も全く同じ状況ということは基本あり得ません。昨日の結果が今日に影響を与えてしまうということを考慮する必要があるんです。そういった細かい変化の影響を考慮するために用いたのが、Xの右上についた数字だったのです。

Xの右上につく数字を増やすことを「次元を増やす」というのですが、次元を増やすことで現象をよりリアルに再現できるようになるのです。例えば、現実世界でトヨタのプリウスを再現しようとした場合、2次元の絵で描くよりも、3次元のプラモデルでつくる方がリアリティは上がりそうですよね。

しかし、ここで1つ数学嫌いの私たちにとって致命的な問題が発生してしまいました。最初の式ではXに入る数字(すなわち、体重が60KGに乗るまでの日数)が直感的にわかりましたが、Xの右上に数字が乗ったことで、ちんぷんかんぷんになってしまいました。これでは何日たったら60KGに乗るのか、見当もつかないでしょう。

ですが安心してください。この意味がわからない式になったときの解決法を頭の良い人たちが既に考えています。便利な世の中ですね。
その例を挙げると、中学校の3年間で習う①因数分解➁平方完成③解の公式があります。
どれか1つはどこかで見聞きした記憶はあるのではないでしょうか?

以下では、それぞれが具体的に何をしているのかを解説していきます。
数学アレルギーの方のために式は一切出さずに説明しますので、必要に応じてお手元の教科書に書いてある式などを参照してみてください。

次章以降お話することの全体像

因数分解は「共通点を探す」こと

因数分解は中学1年生あたりから習うもので、数学を嫌いになる最初の難関として登場しています。

この因数分解は、問題を解決する際に非常に効率が良い、「共通点探し」をしているものです。

例えば、Aさんが、学園祭のクラス出し物を巡って喧嘩をしているB男くんとC子さんの仲裁に入ったとしましょう。

B男さんの言い分はこうです。
「C子さんの言っていることは意味がわからない!お化け屋敷の方が良いに決まっている。ホットドッグ屋じゃ楽しくないよ!」

対するC子さんの言い分はこうです。
「お化け屋敷じゃ、みんなが楽しめないわ!」

この会話を聞いたAさんは困りました。話が平行線を辿っています。
ここまで例としてきた式よりも、複雑な問題が発生しているような気もします。
困ったAさんはなんでそんなにお化け屋敷とホットドッグ屋にこだわっているのかを聞いてみました。

B男さん
「だって、怖い体験をするとドキドキして面白いじゃん!」

C子さん
「一部の人が嫌な思いをするかもしれないイベントは嫌よ!」

ここまで聞いたAさんはこう言いました。
「2人が言っていることは、誰でも楽しめる体験型イベントなら達成できるんじゃない?だったら、体を動かすこと・他参加者との会話も重要になる謎解きイベントとかどう?それぞれが得意なことを発揮しながら楽しめるし、各アトラクションを最も早くクリアした人をランキングで表彰すれば、みんなのモチベーションになるかも!」

B男さん・C子さん
「確かに!それ面白そう!」

こうしてこのクラスは、を出し物として学校の中でも繁盛したイベントを行うことができましたとさ。

ーFin-

もちろん、こんなに話がうまくいくことは少ないでしょう。実際の問題はもっと複雑なことが多いです。
それでも、このように共通点を見つけることで問題解決の糸口を見つけることは非常に多いです。

因数分解とはこういった共通点を探して、もっとも簡単に問題が解決できそうなポイントを発見する力を養うために、習っているのです。

平方完成は「自分が得意な形で問題を解決する」こと

平方完成は中学2年生あたりから習うもので、もうこの辺りになるとそもそも何をしているかさっぱりという人も多いでしょう。

この平方完成は、問題の形を変形することで、「自分が得意な形で問題解決」をしているものです。

これは覚えなくて良いですが、平方完成を教科書で調べると「左辺を平方の形に変形→両辺の平方根をとる」みたいなことが書いてあるでしょう。これだけだとよくわからないと思いますが、ここでやっているのは、「両辺の平方根をとる」という自分ができる得意なことをするために、問題の解釈を変えているということをしているのです。

例えば、先ほどの学園祭の看板作成場面で考えてみましょう。

C子さん
「B男くん、手が空いているなら入口にかざる看板を作って!」

B男さん
「えー、俺絵とか書けないからできないよ。そういうの考えるのC子さんの方が得意じゃん。」

C子さん
「B男くんめちゃくちゃパソコン得意じゃん!私がB男くんが作りやすい形に色々情報を整理するから、それをもとに作ってほしいな!」

B男くん
「まぁ、たしかにそれならできるかな。」

後日なんとB男くんはパソコンで3Dの看板を制作してきました。
他のクラスは紙に書いただけの看板だったので、目立ってどのクラスの看板よりも集客に貢献しましたとさ。

ーFin-

この例では、集客に繋がる看板という難しい課題に対して、B男さんが持ち前の3D設計スキルを活かすことができるよう、C子さんが整理を手伝うことでサポートしています。B男さんが得意な形に変換して仕事をお願いしてなかったら、恐らくこのクラスの看板は他のクラスのような目立たない看板になっていたでしょう。

平方完成とはこういった自分たちが持っている武器を最大限活用するために、問題を違う形に変換し理解し直す力を養うために、習っているのです。

解の公式は、「天才が見つけたオリジナルメソッドをパクる」こと

解の公式は中学3年生あたりから習うもので、数学嫌いの私たちにトドメを刺してきます。

この解の公式は、「あらゆる式に対して使えるオリジナルメソッド」だったのです。

例えば、先ほどの学園祭の企画設計で考えてみましょう。

Aさん
「いやでも、自分が言ったはいいもののランキング形式ってよくわかんないよね。ランキングが出ることでモチベーションを無くしちゃう人もいるだろうし。」

B男さん
「そういえば、この間のASOKINのYoutubeで、『0からゲームを作ってみた』って動画をやってたよ。なんか、こういうゲームの研究って実際にされているらしく、なんでもゲームのプレイヤーは4タイプに分かれるって言われてるみたいだよ。」

Aさん
「え、めっちゃそれ使えそうじゃん。早速観ようぜ!」

こうして、AさんとBさんが作ったゲーム設計はあらゆる性格の人がハマるためのポイントを満たしており、最初の企画会議で重要視していた「みんなが楽しめること」をさらに達成することができました。

ーFin-

この例では、既にあるゲーム化の知見を有効活用することで、効率良く当初の目的を達成することができました。解の公式はまさに、複雑な式を解くために天才が作ったオリジナルメソッドだったのです。数学の授業では、とんでもない画期的な解き方だからこそ、わざわざ解の公式が紹介されているのですが、これを知らない私たちにとっては、またよくわからない謎の式が出てきたようにしか見えないのです。

解の公式は、世の中に既にあるものを有効活用することで、効率よく問題が解決できることを知るために、教えられているのです。

【朗報】数学で学ぶことは、3ジャンルくらい

ここまで方程式について理解してきましたが、「こんな大変な理解をするのはもううんざりだよ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方に朗報です。ここまで理解してきたことで、数学の大体30%ほどは根本の部分を理解したといっても過言ではありません。

実は、数学で学ぶことは大きく3ジャンルくらいあるのですが、そのうち1つのジャンルである'代数'の基礎をお伝えしました。

そもそも、数学は大きく3ジャンルに分かれます。そして、誤解を恐れずに整理すれば、大体以下のような3分野であると言えます。

  1. 代数→わからないものに適当に記号をおいて、計算(問題解決)できるようにする分野
  2. 解析→1の代数をグラフで可視化したり、少しずつ動かすことで、未来予測や比較をする分野
  3. 幾何→図形や空間に共通する、3つくらいの共通性を導き出す分野

1の代数に関しては、ここまでで説明してきたような形で式などにして問題を解決できるような状態にする分野です。

2の解析に関しては、代数の延長線上の分野だと理解すればわかりやすいです。例えば増量に関する式をたてたなら、60KGから70KGに増量する際にはどうなるのかを予測したり、他の人と比べて効率的な増量になっているのかを比較したりするでしょう。代数を使って人間の欲求を満たしに満たしていたら、解析という分野が誕生したのです。

3の幾何に関しては、少し毛色が異なりますが、やりたいことはおおよそ似たようなものです。そもそも、何かものを見るとその法則性を見つけたがる本能があります。難しく考えずとも、私たちが普段「~~さんはせっかちだから、多分この件を知ったら怒るよ。」みたいに法則性を理解してものごとを考えるのは、その本能の1つです。

1の代数が誕生したのは4000年ほど前です。
当然それ以前より前の人にも、当然法則性を探す本能があり、法則性を見つけるために活用されたのが図形的な考え方だったのです。
その代数が無い時代につくられたのが、エジプトのピラミッドです。
今の私たちからすれば、なぜお墓があのような変な形なんだろうと思ってしまいますが、当時の人たちが物理や宗教など様々なものの法則性を導いて、真剣に問題解決をしようとした結果、あの形になったと考えることができます。

このように、膨大な量の数学知識もたった3ジャンルに整理することができるのです。

数学が嫌いなら、もっと楽をしてください

そもそもの話として、私たちが数学アレルギーになった原因は、ここまで説明してきた数学の全体像を理解していなかった加えて、ものごとを真面目に難しく考えようとしすぎたことがあるでしょう。
実は真面目に考えれば考えるほど、理解がしんどくなっていく特性が数学にはあります。

なぜなら、複雑な問題を楽して解決するために全力で開発したのが、数学というチートだからです。
真面目に頑張るためではなく、徹底的にサボるために作られたのが数学であり、サボるためにどう頑張るかという観点で学ぶのが精神的にも物理的にも最適な数学の学習法といえるでしょう。
天才的な怠け者が人生をかけてつくったチート技だと考えれば、使わない手は無いですよね。

まとめ

このように、数学は問題解決をするために人類が作りだしたチートです。
高校までで学ぶことはざっくり3種類くらいで、その全体像を理解さえすれば、怖いものでは無いですし、私たちの人生をより豊かにする大きな武器となります。ぜひそのことを前提にして、数学の勉強を頑張ってみてください!

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