【図解】目指せ目標未達からの卒業!効果的な目標設定で成果を上げる7つのコツ

私たちは、あらゆる場面において目標の設定を迫られます。
しかし大半の場合、無残に目標達成が出来ないことや達成しても虚無感にかられることがあります。
なぜ、せっかく時間をかけて取り組んだにも関わらず、私たちは恵まれないのでしょうか?
その鍵は、目標の設定方法にあります。

この記事では、目標を設定する上での大前提や設定の際に注意すべき7つのポイントについて解説していきます。

【大前提】幸福になれない目標を設定して、私たちは詰んでいます

そもそもの大前提として、目標を達成することで幸福になることが目的であるはずです。
しかし、実際には幸せから遠ざかってしまうような目標を私たちは設定しています。

その理由として、
①外部から与えられた目標
➁幸せと繋がっていない目標
③達成不可能な目標
であることが考えられます。

外部から与えられた目標

外部から与えられた目標にやりがいを感じるのは困難です。
なぜなら、人が最も行動に移すのは、自分で意味づけして行動するときだからです。
たしかに、人から与えられた目標で一時的に奮起することはできますが、長期的には長続きしません。

幸せと繋がっていない目標

幸せと繋がっていない目標を設定することも、私たちは良く陥ります。

まずはヘドニックウェルビーイングで、これは快楽的幸福 と呼ばれます。「幸せになりたい」と考えたとき、
多くの人が思い浮かべるのは、快適さや楽しさを追求する幸福で、まさにそれに当たります。
自分が欲しいものを手に入れたときに湧き上がる快楽感情を意味する「ヘドニア」に由来します。

次はユーダイモニックウェルビーイングで、充実的幸福と呼ばれます。
これは、「意味」や「成長」によって得られる幸福のことを指します。
2000年前のギリシャ哲学者、アリストテレスが提唱した「ユーダイモニア理論」に由来します。

多くの人が目標を立てるとき、どうしてもヘドニックウェルビーイング(快楽的幸福)だけを追い求めがちです。

  • 「年収1000万円になりたい」
  • 「いい家に住みたい」
  • 「自由を手に入れたい」

もちろん、これらの目標自体は悪くありません。この目標を達成するための努力で、大きな成果を得ることができます。

しかし、ヘドニックウェルビーイング(快楽的)には限界があります。ノーベル経済学賞を受賞したことのあるプリンストン大学のアンガス・ディートン教授の研究によると、年収800~1000万円を境に幸福度は限界を迎えると言われており、ここがヘドニックウェルビーイング(快楽的)といえるかもしれません。

一方、イモニックウェルビーイング(充実的幸福)にも限界はあります。生活環境などが整っていない限り、維持することは厳しいでしょう

達成不可能な目標

私たちには自己実現をしたいという欲求が備わっており、自己実現を達成したときにドーパミンという化学物質が放出されることで、幸福感や更なるモチベーションに繋がると言われています。

しかし、達成不可能な目標では、それらの化学物質は出ず、さらに自己効力感を下げてしまいます。
自己効力感とは「自分ならできる」という感覚のことで、この感覚があることで能力に自信を持って行動することができます。
そして、自己効力感が高い人は目標達成などの成果を出しやすいと言われています。
つまり、達成不可能な目標に対して自己効力感が下がると、目標達成確率が下がりさらに自己効力感が下がるという悪循環が発生します。

野望的な目標を設定する

現状維持バイアスを打ち破るには、「野望的」な目標が必要です。

野望的とは、自身の過去・現在・未来を理解した上で、壮大な使命と理想像を掲げることで、ワクワクしながら自信を持って取り組むことができるような目標のことを指します。

確かに、挑戦的な目標は達成が非常に困難です。
しかし、現状の延長線上にある目標を追いかける場合と比較しても、最終的な成果は出やすいのは、こういった挑戦的な目標であるとされています。

かつて、ジョン・F・ケネディ大統領はとあるスピーチで、人類を月に送るという壮大な目標を掲げました。
この「ムーンショット」目標は、当時の技術では到底実現不可能に思われたものでした。
しかし、ケネディは「私たちは簡単だからではなく、困難だからこそ月へ行くのです」と語り、国民に挑戦の意義を訴えかけました。
この言葉に触発され、アメリカは多くの技術革新を生み出し、1969年にはアポロ11号が人類を月に送り込むことに成功しました。

もちろん、ここまで野望的な目標でなくても、以下の例のような設定で十分に効果はあります。

例:

  • 「数学のテストで90点以上取る」ではなく、「数学を得意にして、将来はデータサイエンスやAIを駆使するエンジニアになる」
  • 「英単語を1日50個覚え、次回の英検で合格する」ではなく、「海外の大学で博士になり、ノーベル賞を受賞する」

目標を大きくすることで、ワクワクする目標に挑戦することが楽しみになり、長期的に取り組みやすくなると認知科学では説明されています。

安心感のある目標を設定する

ただし、野望的な目標をたてるだけで不安になるのは当然で、逆に行動できなくなる可能性が高いでしょう。
そのため、野望的な目標には同時に「安心感」があることも重要となってきます。

具体的には「変わることが損」という状態から「変わらないことが損」という認識になることが必要であり、その支援をしていくことが重要となってきます。

「変わらないことが損」だと認識するためには、モチベーションを正確に理解する必要があります。

実はモチベーションは、理想の自分を実現するためではなく、現状の自分を維持するために発生します。
私たち人間にはとにかく変化を嫌い、現状を維持しようとする本能があります。
これを「現状維持バイアス」と呼びますが、それが発生することが無いよう、
「理想的な自分を実現する方が、無難にホッとする」という状態を認知の書き換えなどで作っていく必要があります。

具体的な絵にする

目標を設定する際には、具体的な絵に落とし込んでいくことも重要です。

私たちは目標を設定する際、曖昧な目標を設定してしまいます。
例えば、「40歳でFIREして、ハワイで暮らす」という目標をたてた場合、もっと具体的にする方が良いです。

具体化の項目としては、
・その時家族は何人ですか?
・住んでいる家はどこの家賃いくらか
・何時から何時までビーチに出かけるのか
・何時から何時まで働くのか
・どういった手段
・何をしているときが一番幸福を感じるのか
といった項目です。

馬鹿みたいに感じるかもしれませんが、目標を具体的な絵に落とし込むことで、脳に現実と錯覚させる効果があり、
チャレンジにおける「現状維持バイアス」の発動を抑えることができます。

勝利・支配条件に合っている

目標を設定する際には、戦略的に振舞うことが非常に重要なことを私たちは忘れがちです。
戦略(Strategy)とは、目的を達成するための全体的な方向性や計画のことを指します。
限られたリソース(資源・時間・人材など)をどのように活用し、競争優位を築くかを決めるものです。
いくら目標を達成しようと努力しても、私たちの人生は有限です。
限られた時間の中で、なるべく合理的に振舞う必要が出てきます。

その際に重要となる観点は、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉に集約されています。
この言葉は、中国の『孫子(孫子の兵法)』の中の一節に由来します。
敵(環境)を把握した上で己(自分・特に強み)を理解することで、どこにリソースを割くべきかが見えてきます。

敵(環境)を知るためにやるべきことは
1.勝利条件を発見する
2.支配条件を発見する
の2つです。
それぞれをサッカーを例にして確認してみます。

勝利条件とは

サッカーにおける勝利条件とは、「得点の最大化+失点の最小化による勝利確率の向上」です。
では、どういう状態だと得点の最大化と失点の最小化に繋がるのでしょうか?
得点が最大化できるというのは「敵陣ゴール前で時間と空間が無限にあれば、だれでも得点ができる状態」であり、
失点を最小化できるというのは「自陣ゴール前で時間と空間が全くなければ、だれでも無失点でいられる状態」です。
こういった、極論どうすれば良いのかという条件こそ、勝利条件そのものです。

支配条件とは

サッカーにおける支配条件とは、「対戦相手を物理的・精神的に支配すること」です。
サッカーは相手ありきのスポーツです。極端な例を出すと、
自分たちが攻めたいゴールとは逆向きなど厳しい状態に追い込まれた上で、
今にも泣きだしそうなくらい精神的に追い込まれているチームが勝つ可能性はほぼゼロでしょう。
そういった状態をつくり出すことが、ゲームを支配することと言えます。

このように、勝利するには環境がどういうルールにあるのか、
そして、どうすれば自分がその場を支配できるかを考えることが、
良い目標設定では重要になってきます。

WILL・CAN・MUSTの先にある

WILL / CAN / MUSTとは?

WILL / CAN / MUSTは、自己の目標や行動を整理し、優先順位を明確にするためのフレームワークです。

  • WILL(やりたいこと)
  • CAN(できること)
  • MUST(やるべきこと)

この3つの視点を整理することで、目標設定やキャリアプラン、戦略立案がスムーズになります。

1. WILL(やりたいこと)

定義

  • 自分が本当にやりたいこと
  • 内発的なモチベーション(好き・興味・情熱)に基づくもの
  • やりがいや幸福感につながるもの

  • ビジネス:新規事業を立ち上げたい、グローバルな仕事をしたい
  • スポーツ:プロ選手になりたい、マラソンで完走したい
  • 学習・キャリア:データサイエンスを学びたい、海外で働きたい

2. CAN(できること)

定義

  • 現在のスキルや経験に基づいて、実現可能なこと
  • 他者から評価される強み
  • 努力次第で伸ばせるものも含む(成長可能性)

  • ビジネス:営業が得意、プログラミングができる
  • スポーツ:足が速い、持久力がある
  • 学習・キャリア:数学が得意、英語でコミュニケーションが取れる

3. MUST(やるべきこと)

定義

  • 責任や義務として果たすべきこと
  • 組織や社会、家族からの期待
  • 短期的・長期的な目標達成に必要なこと

  • ビジネス:売上目標を達成する、リーダーとしてチームをまとめる
  • スポーツ:毎日トレーニングを続ける、試合で結果を出す
  • 学習・キャリア:資格を取得する、プレゼン力を鍛える

4. WILL / CAN / MUST の関係

この3つは独立した概念ではなく、重なり合う部分が重要です。

(1)WILL × CAN → 夢に向かって進める

  • 「やりたいこと(WILL)」と「できること(CAN)」が重なると、無理なく成長できる。
  • 例:プログラミングが得意(CAN)で、新しいアプリを作りたい(WILL)

(2)WILL × MUST → モチベーションはあるが、スキル不足

  • 「やりたいこと(WILL)」と「やるべきこと(MUST)」が重なるが、「できること(CAN)」が不足している状態。
  • 例:起業したい(WILL)、事業計画を立てなければならない(MUST)、でも経営スキルが足りない(CAN不足)

(3)CAN × MUST → 義務感はあるが、やりがいがない

  • 「できること(CAN)」と「やるべきこと(MUST)」が重なるが、「やりたいこと(WILL)」がないと、モチベーションが低下しやすい。
  • 例:営業が得意(CAN)で、会社から営業目標を課されている(MUST)、でも本当は違う仕事がしたい(WILL不足)

(4)WILL × CAN × MUST の重なる部分が理想

  • 「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」が一致すると、モチベーションも高く、成果も出しやすい。
  • 例:教育に興味がある(WILL)、指導力がある(CAN)、塾の講師として生徒を育てる仕事をしている(MUST)

目標志向と関与に合致する

また、目標を設定した上で、その目標に対してやる気を見いだせるかどうかが重要となってきます。
実は、目標志向性と関与という2つのものを変えるだけで簡単に出すことができます。

目標志向とは、どういった目標を達成したいかであり、
関与とは、能力と努力がどういった関係にあると考えるかです。

やる気が出る目標志向性が3つのうち2つだけ

目標志向とは、どういった目標を好むかという話です。

熟達目標志向とは、自分の知識や能力が上がることを目標としたがる志向性です。
すなわち、「知りたい」が先行するため目標を達成しようとするタイプです。
このタイプは、やる気に満ちあふれている上に、目標達成のためなら周りにいくらでも助けを求めます。
結果として、目標達成の確率はかなり高いタイプです。

遂行接近目標志向とは、自分が成功することを目標としたがる志向性です。
すなわち、「自分が優秀であると見せたい」気持ちが先行するため目標を達成しようとするタイプです。
このタイプもやる気には満ちあふれています。しかし、恥を恐れるため周りに助けは求めにくいです。
結果として、目標達成の確率はそれなりに高いタイプです。

遂行接近目標志向とは、自分の失敗を避けることを目標としたがる志向性です。
すなわち、「恥ずかしい思いをしたくない」気持ちが先行するため目標を達成しようとするタイプです。
このタイプは、目標達成することに消極的であり、やる気は出にくいです。
もちろん、周りに助けを求めることもなかなかできません。
結果として、目標達成の確率は低いタイプとなります。

努力と能力の捉え方で、やる気は大きく変わる

関与とは、努力をすることが能力に結び付くと考えるか否かです。

自我関与型は、努力では能力を変えることができないと考えて、失敗を恥と考える傾向です。
この傾向を持っていると、努力をしたところで能力や自信が身につくことが無いと考えるようになり、
結果として努力をしなくなります。

課題関与型は、努力で能力を変えられると考えて、失敗を教訓として果敢に受け入れる傾向です。
この傾向を持っていると、努力をすればするほど能力や自信が身につくものだと考えるようになり、
低いストレスで努力をすることができるようになります。

目標志向性×関与による、合理的なやる気の出し方

目標志向性を変えるとやる気が出るというのがわかっても、実際に行うとなると非常に難しく感じてしまうかもしれません。
しかし、「関与」・「過去の認知」・「将来への期待」のもちようで、目標志向性を変えることができます。

熟達志向か遂行接近の目標志向のいずれでも構いませんが、
自分の性格にあった形の目標を設定していくことが重要と言えます。

SMARTな小目標でステップを踏む

目標を立てる際には、壮大な大目標を立てるだけでは不十分です。
目標達成の確率を上げるには、どうやってその目標を達成するのか、
計画実践ができるまで落とし込んでいくことが重要になります。

その際に作成する目標は、SMARTであることが望ましいとされています。
このSMARTの概念は、1981年に**ジョージ・T・ドラン(George T. Doran)**によって初めて提唱されました。
彼は、アメリカのマネジメント専門家であり、当時『Management Review』誌に掲載された論文「There's a S.M.A.R.T. way to write management's goals and objectives(経営目標と目的を記述するためのSMARTな方法がある)」の中で、このフレームワークを紹介しました。

SMARTの5要素

  1. Specific(具体的である)
    • 目標は曖昧ではなく、明確で具体的に定める。
    • 「英語を頑張る」ではなく、「TOEICで800点を取得する」とする。
  2. Measurable(測定可能である)
    • 進捗や達成度が数値や指標で確認できるようにする。
    • 「毎日勉強する」ではなく、「1日2時間勉強する」とする。
  3. Achievable(達成可能である)
    • 実現可能なレベルの目標を設定する(高すぎず、低すぎず)。
    • 「1か月でTOEIC300点→900点」は非現実的だが、「半年で600点→800点」は可能かもしれない。
  4. Relevant(関連性がある)
    • 自分の価値観や長期的な目標に関連しているかを確認する。
    • 「TOEIC800点」は「海外留学のため」に必要かもしれないが、「特に使う予定がない」と不要な目標になり得る。
  5. Time-bound(期限がある)
    • いつまでに達成するのか期限を設定する。
    • 「TOEIC800点を取得する」ではなく、「6か月後の試験でTOEIC800点を取得する」とする。

まとめ

ここまで、目標設定における、7つのコツについて解説してきました。

目標設定では、何よりも合理的に幸福を追求する必要があります。
具体的な設定段階においては、野望的で安心感のある大目標を具体的な絵の形で表現することが必要です。
その際には戦略的なアプローチや個別目標志向への考慮も忘れてはいけません。
実践段階においては、小さくSMARTな目標に分解して段階的に成功体験を積み上げることが重要です。

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