基礎を固めても応用ができない理由─ 学びの“詰まり”を解消する「思考の5階層」


「基礎を固めたのに、できない」の正体

  • 英単語や文法は覚えた。でも英作文が書けない
  • 数学の公式は暗記済み。でも応用問題で詰まる
  • 歴史の流れも理解してる。でも論述が書けない

これは“基礎が足りない”からではありません。
本当の理由は、思考を階層で積み上げていないことにあります。

本記事では5つの階層を説明するとともに、AIで簡単に整理できる方法をご紹介します。


思考には「5つの階層」がある

学びや理解は、本来このように段階的に積み上がる構造をしています:

思考段階役割キーワード
定義・前提言葉・概念の意味を理解する意味・土台・世界観
命題・主張「こうなるはずだ」という論理構造を捉える視点・構造・論点
検証・証明主張や法則の正しさを確かめ、納得に変える根拠・確認・理解
公式・パターン思考を再利用可能な道具にする型・処理・計算
応用・戦略自分の文脈で使いこなす/選択して活かす実践・応用・設計

「基礎」は④まで。でも「応用」は⑤で決まる

多くの人が「基礎を固める」ときにやっているのは、
このうちの 定義〜公式(①〜④) までです。

でも、試験や実践で問われるのはその先、⑤:応用・戦略。

つまり、こういうことです:

「基礎はやったのに応用できない」=⑤が訓練不足 or ④までが足りてない状態なんです。


応用できない理由:4つの落とし穴

定義や命題を深く理解しないまま公式に飛びつく

→ 「なぜそれを使うのか?」がわからず応用が利かない

検証の経験が足りず、“わかった気”で終わる

→ 公式を使えるが、その背景にある論理が曖昧

覚えている公式・パターンがそもそも少ない

→ 武器が少なければ戦えない。場面に対応できない

応用の訓練が圧倒的に足りない

→ 型は知っていても、「どう使うか」が身体化されていない


📊 教科別で見る「思考の5階層」応用一覧(最新版)

思考階層現代文社会(鎌倉時代)数学英語(最新版)理科(物理)
定義・前提抽象語・論理語の意味を読む武士政権・幕府・朝廷とは?関数・変数・ベクトルなどの概念理解名詞・動詞・助動詞・時制などの品詞の意味を理解速度・力・仕事など物理量の定義
命題・主張筆者の主張・論点を構造で把握「御恩と奉公はなぜ必要か」を論理で捉える一次関数は直線になる/合同の定理などの主張主語+動詞という構造で意味ある命題が成立することを理解(例:"Birds fly.")「力は加速度を生む(F=ma)」などの自然法則
検証・証明例・引用で論理構造を裏付ける承久の乱や蒙古襲来の影響を因果で分析式の展開・グラフで成り立ちを検証英文精読・構文分解で主語動詞構造が正しいか確認実験・グラフ・計算で理論を裏付ける
公式・パターン因果・対比・抽象→具体の型をつかむ幕府の組織構造・事件の因果をテンプレ化解の公式・三平方の定理・標準公式などを使いこなす文型(SVOC)・関係詞・使役・受動構文などをパターンとして身につける運動方程式・エネルギー保存則などの道具を使う
応用・戦略設問パターン別に戦略的に読む他時代比較/論述での活用/現代視点で考える応用問題/融合問題で最適な手法を選ぶ英作文や要約、長文で文構造・語順を自在に操作する実験結果の考察や応用問題で知識を実戦活用する

では、どうやってこの5階層を使えばいいのか?

ここまで読んで、「じゃあ全部定義からやらなきゃダメなのか…」と思ったかもしれません。
でも、必ずしも順番通りにやる必要はありません。


整理の理想的な順番と、実践における順番は違っていていい

理想的には、①→⑤の順で積み上げるのが最も美しい構造です。
しかし、現実の学びでは、効率・モチベーション・スピードも重要です。

だからこそ──

実践では、④公式から入って、①〜③を後から補うスタイルでも十分通用します。

たとえば数学なら:

  • まずは「解の公式」だけ覚えて使ってみる
  • 後から「なぜそうなるか?」を検証する
  • 最終的に「この場面ではこの公式」と応用に活かす

このやり方は、ボトムアップとトップダウンのハイブリッドです。

AIを使えば、爆速かつ網羅的に整理できる

手書きや頭の中では難しかった構造整理も、ChatGPTを使えば一瞬でこうなります:

  • どんなテーマでも5つの階層で自動整理
  • 抽象的な考察から受験レベルの論述まで応用可能
  • 指導・教材づくり・自学ノート作成にすぐ使える

AIで思考を整理するときの注意点

AIは“もっともらしい嘘”をつくことがある

ChatGPTは「正しい情報」ではなく、「言語的に自然な文章」を生成するモデルです。
あたかも事実のように嘘を書くことがあるため、特に次の階層では要注意:

  • ③検証・証明:データ・引用・証言は自分でも必ず確認
  • ④公式・パターン:それっぽいけど実際は過去問に出ていないテンプレが混ざることも

👉 信頼性が必要な部分は、必ず一次資料や教科書で裏をとる


「命題」と「応用」はユーザーの思考が問われる階層

AIは文法や構文で意味をつくるのは得意でも、何が重要か・どこに意味があるかを判断するのは苦手です。

特に以下は注意:

  • ②命題・主張:AIは“どこが本質か”を曖昧にすることがある
  • ⑤応用・実戦:試験傾向に合わせた出題意図を見抜くのは難しい

👉 「それっぽい」命題や問いをそのまま鵜呑みにしないこと
👉 ユーザーが「これは本当に問うべきことか?」を吟味する必要がある


AIは「構造」より「表層」を優先しがち

AIは、言葉のパターンには強いが、論理の“意味構造”を常に把握しているわけではありません。

そのため:

  • 「階層ごとにちゃんと違うことを書いているように見えて、内容がかぶっている」
  • 「命題なのに定義っぽい」「応用なのに検証っぽい」などの階層混乱が起こる

👉 そこで、最初に構造の定義を明確に与えるプロンプトがとても重要になります
👉 この点をクリアするために、今回のプロンプトは階層の役割を明示的に指定しています


AIは“使い手の構造思考”を映す鏡である

AIはユーザーの問いに忠実に応じるだけなので、
問い方・意図の解像度が低いと、出力も浅くなります。

つまり──
「AIを使うスキル」は、「問いを構造でとらえるスキル」に直結しています。

👉 プロンプトの構造力 × 思考の精度 = 出力の質
👉 構造で学びたいなら、自分自身も構造的にAIを使いこなす必要がある

実際に使えるプロンプト(超汎用)

以下の文章をコピーした上で、【テーマ】:◯◯ の部分に調べたいキーワードを入れると簡単に整理ができます。

なお、上記の通り、最初に送るプロンプトで出てくる成果は大きくことなります。あくまで以下のプロンプトは参考程度に、ご自身の勉強の形に合わせて再度設計し直すことをお勧めします。


次のテーマについて、「思考の5階層(定義・命題・検証・公式・応用)」に沿って、受験生が学びを実戦で活かせるように構造的に整理してください。

各階層で記述する際は、以下の役割と問いに従ってください:

①【定義・前提】
→ 「これは何か?」という客観的事実や語句の説明。辞書的・中立的に。

用語定義・時系列・誰が何をしたか、など

②【命題・主張】
→ 「この出来事/概念が何を意味するのか」「どんな問題提起をしているか」

構造的な意味・対立軸・政治的/思想的含意などを含む

③【検証・証明】
→ 命題を支える根拠や証拠を明示。なぜその主張が言えるのか?

資料・統計・一次史料・具体例・因果関係など

④【公式・パターン】
→ 同じようなテーマでよく出るパターン・因果構造・テンプレート表現

論述や記述に使える型(例:〇〇→△△→□□の流れ)

頻出の歴史構造・思考フレーズ

⑤【応用・実戦】
→ 実際の入試問題でどう出るか?どんな出題がされる?どう解けばいい?

出題形式(記述/選択/資料読み取りなど)

想定される問い(「意義を述べよ」「影響を説明せよ」など)

回答時の視点・配点意識・構成のポイント

【テーマ】:◯◯(例:五一五事件、明治維新、グローバリズム、関数など)
【出力形式】:階層ごとに見出し+箇条書きで簡潔に
【対象】:受験生が自学・記述・模試・入試に活用することを想定

まとめ:構造を意識すれば、学びは進化する

大学受験レベルの知識において重要なのは、才能や記憶力ではなく、知識の積み方と順番です。

どの階層が抜けているか?どこから補うべきか?それさえわかれば、「わかる」から「使える」へと変えることができます。

ここまで、基礎を応用できない罠について、

私たちオンラインコーチング塾COMPASSでは、
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