英単語を真面目に覚えるのは危険。覚えるではなく触れる暗記戦略。


はじめに:英単語が頭に残らないのは、努力不足ではなくやり方の問題である

「昨日あれだけ覚えた英単語が、今日はもう思い出せない」
こんなショックな経験は皆さんあるのではないでしょうか?

丁寧に覚えたのにもう忘れてしまっている。
そういった経験が続くことで、次第に英単語の勉強をやめてしまう。

結果として、いつまで経っても英単語が覚えられないという状態に多くの人が悩んでいます。

しかし、この状態はとてももったいない状態です。
実は、ほとんどすべての学生はこの壁に直面する運命にあり、
その後覚えられるかどうかはこの壁を乗り越えられたか否かと言っても過言とは言い切れないからです。

多くの人は暗記に真面目に取り組みすぎた結果として、
記憶が定着しないというジレンマに陥っています。

本記事では、「英単語は覚えようとするものではなく、触れたものが制す」という内容で、
受験において王道であり将来にもつながる英単語学習方法について考察していきます。


英単語を覚えようとするから失敗する

私たちがしがちな最大の間違いは、ゆっくり丁寧に英単語を覚えてしまうことです。
皆さんが通う学校でも、50単語ずつを1週間に覚える単語帳テストみたいなものが行われているのではないでしょうか?
ここでは、このようなアプローチを「ゆっくり丁寧に英単語を覚える」と呼んでいます。

しかし、実はこのアプローチで英単語を覚えようとすると、高確率で失敗します。

例えば、この単語帳が2000単語だとすると40週間、つまり10か月程度かけて1冊を終わらせるということになります。
するとどうでしょう。最初の内容はほとんど覚えていません。

私たちが良くやりがちな勉強の問題点は「一発で内容を覚えようとすること」です。
もちろん、学校側としては定期的に復習してくれることを想定して細かく分割した単語帳テストをやっているはずです。
しかし、そんなまめな学生はほとんどいないでしょう。
10か月も英単語の復習を丁寧に管理しながらこなすのは、かなりまめな作業だからです。普通は続きません。

結局、10か月経った上で、その単語を覚えたことすら覚えていないみたいな状態が発生してしまうのです。

そもそもなぜ英単語を覚える必要があるのか

では、なぜそもそも英単語を覚える必要があるのでしょうか?

それは、英単語を覚えないと、そもそも全く英語を解けません。

受験科目としての英語において最も高得点なのは、英語長文読解パートです。
この英語長文を解けるようになることが、日本の受験制度においては非常に重要な鍵を握っています。
そして、長文を読むために特に重要なのが、単語の語彙数なのです。

英単語を覚えていない≒語彙が無い状態では、1文を読む難易度が高くなります。

He is ●●.

英単語を覚えていないと、長文が上のように虫食いになるイメージです。
彼が何者なのかを知っていると知らないとでは、それ以降の文章を問題なく読める確率も大きく変わるでしょう。
そして、その負債がどんどんとたまっていくことで、本文を全く読めない状態に陥り、
結局問題をカンで解いてしまうのです。

人間は忘れる生き物である

英単語を覚えられるかどうかは、受験生活において大きな分岐点です。
英単語を覚えられる人は受験を超有利な状態で進めることができます。

しかし、多くの人は英単語を覚えられていない。
その原因は丁寧に覚えようとしすぎていることでした。

人間は忘れる生き物です。いらない知識をわざわざ持っておくのは、生存に不利だからです。
そのため、脳に知識が有益であると思い込ませて、定着させるプロセスが必要となります。
そして、このプロセスこそ復習です。

よくエビングハウスの忘却曲線を持ち出して「1日後に74%忘れる」からどんどん復習しよう!みたいな記事を読んだことはあるのではないでしょうか?
実はこのような主張は、実際の論文を読むとかなり誤解された理屈ではあります。

ただし、想起練習にまつわる研究などを通して、定期的に思い出す形で復習をすること自体に価値があることは既にわかっています。

人間が記憶を定着させるのは、復習をしたタイミングであることはほぼ間違いなく、
要するに復習の設計次第で、英単語の定着率には大きな差が生まれるのです。

忘れる前提での最適解は「触れる」

では、どのような復習設計が良いのか。

それを一言でいうと「覚える」ではなく「触れる」です。

丁寧に英単語を覚える必要はありません。

具体的には、スペルを完璧に覚えようとすることや
複数の意味がある英単語の意味を全部覚えようとすることは必要はありません。

確かに、母語である日本語の学習においてはそのような学習はある程度意味はあるでしょう。
スペルや文字の形を正確にかける基礎が無いと、言語能力全般に問題が生じてしまう可能性があります。

しかし、小中と十分に言語能力を培ってきた人が殆どの日本において、
わざわざ新規単語のスペルを覚えようとするのは非効率です。
最低限アルファベットの26文字を大文字小文字で書くことができるなら、
むしろ大量にその文字を目で触れることで覚えるくらいがちょうどよいです。
もし、英作文が重要などの特別な事情がある場合には、
その際にスペルを覚える目的で練習するくらいが負荷が少なく効率的です。

人間の負荷には限界があるので、なるべく必要最低限の形にして、
復習しやすいようにすることの方が、よっぽど重要です。

意味に関しても、全部覚える必要はありません。
最初はその単語が名詞なのか形容詞なのかといった文法的な意味を理解できていて、
なおかつ、なんとなく脳内でイメージができれば良いです。
映像化した方が、脳の処理が軽くなり記憶しやすくなります。

例えば、
car→車の映像
metropolitan→ビルが林立する映像
different→2つのものが分かれている映像

くらいのイメージで十分です。
時折映像化に失敗することもあると思いますが、
その都度修正できるくらい大量にその単語に触れることの方が優先度が高いです。

具体的な触れ方

英単語の暗記における到達すべき水準は以下の3つです。

  • 英語→日本語の意味をとれる
  • 意味は長文に出てきたときに、自分の言葉で訳せる程度のざっくりとしたイメージでOK
  • 発音を正確に出せる

まず、ここまで1回で触れる情報を減らすべきです。
そして、その上で復習の設計を工夫することが求められます。

具体的には、①1単語の学習時間を10秒以内にする②7回程度思い出せた単語を除外していく③復習スパンを広げていく

まず、1単語の学習時間は10秒以内で十分です。
その間に日本語訳を隠しながら英語をみて、何となくのイメージを掴んでそれがあっているのかと発音を確認するだけで問題ありません。
なれてくると、さらに1単語にかかる時間は短くできます。

次に、7回思い出せた単語は除外するのがおすすめです。
やってみるとわかりますが、これまでの経験などを踏まえて覚えやすい単語とそうでない単語がわかれてきます。
覚えやすい単語は基本的に忘れにくいので、さっさと除外して覚えにくい単語を重点的に取り組むのが効率的です。
そうすることで、2000あった単語も次第に削っていくことができ、復習の負荷もどんどん下がっていきます。

最後に、復習スパンの広げ方については、ライトナーシステムと呼ばれる仕組みを用いることがおススメです。
現在の科学においては、かなり信頼できるスパン構築術だと証明されており、
多くの暗記アプリなどではこの仕組みが構築されています。

私たちが提供するCOMNAVIのタスク機能においても、
このライトナーシステムを標準実装しているため、
英単語以外含めてこの復習スパンで学習管理を楽にできるようになります。

なお、発音に関しては将来の英語学習の弊害やリスニング対策もかねてこの時点で抑えることがおすすめです。
しかし、極端に時間が無いなどでさらに負荷を減らす必要がある場合には、
発音も日本語発音で覚えてみる判断も良いかもしれません。

まとめ:英単語学習は「根性論」から「設計論」へ

英単語が覚えられない原因は、才能や努力不足ではありません。
問題は、「一発で覚えようとする学習設計」にありました。

人間は忘れる生き物です。
だからこそ、英単語学習の最適解は
覚え込むことではなく、何度も触れることにあります。

1単語あたりの負荷を下げ、
思い出せたものは手放し、
忘れやすいものだけに集中する。

このように復習を設計するだけで、
英単語は「苦行」から「積み上がる作業」へと変わります。

英語長文を読めるかどうかは、
結局のところ、語彙との接触量で決まります。

今日からぜひ、
英単語を「覚える対象」ではなく、
触れ続ける素材として扱ってみてください。
それが、受験にも、その先の英語学習にもつながる王道です。