英単語が覚えられない本当の理由。「書いて覚える」からの卒業。

目次
はじめに:書いても書いても覚えられない理由
今日も英単語を覚えるために、ノートにびっしりと単語を書き記した。
しかし、なかなか覚えられない。
頑張って書いたのに、それが無駄になったような気分になる。
勉強がより退屈になって、勉強時間がどんどん減っていく。
この現象、日本中の多くの教室で起きています。
せっかく努力したのに、それがなかなか報われないというもどかしい状況です。
なぜいつまでも覚えられないのか、実はその一因に「書いて覚えよう」としていることがあります。
本記事では、書いて覚えることの弊害と、対策法について解説していきます。
なぜ「書いて覚える」は定着しないのか
では、なぜ書いて覚える形では、英単語が記憶に定着しないのでしょうか。
その理由は大きく3つあります。
受験に必要なのは思い出すことであるため
まず根本的に、受験で求められる能力と、書いて覚えるで鍛えられる能力が違います。
受験において求められるのは、
- 英語を見て意味が瞬時に浮かぶか
- 長文を読み込めるか
- 問題を解くための情報を読み取れるか
がメインです。
書けるかどうかは求められません。
求められるのは、「思い出す」ことです。
加えて、そもそも「思い出す練習」が効率が良いこともわかっています。
また、英作文などにおいてはスペルを書く必要がありますが、
こちらも決してスペルを書く能力を見定めるための試験ではありません。
あくまでも、英語を使って論理的な文章を構成する能力が求められています。
面倒で続かない
書く作業は非常に面倒です。
1つの単語で意味とスペルと発音を勉強する場合、
ちゃんとやるなら、少なくとも20秒はかかるでしょう。
これが積もっていくと、最終的な勉強時間に大きな差が生まれます。
基本的に怠惰で現状維持を好む人間にとって、
わざわざ面倒なタスクにしてしまうことは死活問題なのです。
受験は短期の気合いで乗り切るものではなく、長期の資源管理ゲームです。
せっかく勉強しているのに、書きすぎてしんどくなって辞めるのはもったいないです。
復習スパンが遅くなる
時間がかかるということは、復習の難易度が上がることも意味します。
大学受験用に少なくとも覚える単語はおよそ2000語です。
1日50語などのペースで頑張って覚えても40日かかります。
しかし、40日後に初日の単語を覚えている人はほとんどいないでしょう。
書いて覚えるのは、母語学習モデルの弊害
実は私たちが英語を書いて覚えようとするのは、
ある種必然なんです。
それは、日本語を学習するときに書いて覚えたからです。
この成功体験が、英語学習にも無意識に持ち込まれています。
小中と平仮名や漢字を勉強する際には、書き取り帳に書いてきました。
確かに、初学においてはこの方法は効果的な面もあるかもしれません。
母語を学ぶというのは、言語能力の構築の側面が強いです。
そもそも母語の字を書けないというのは、学習において大きなハンデとなりかねないからです。
しかし、英語学習はその限りではありません。
日本において、基本的に多くの人は母語を十分に学習できています。
あくまでも英語においては、その言語能力を活用した上で、必要なキットだけ追加するようなイメージで十分なのです。
母語初学と外国語学習の決定的な違い
| 観点 | 母語初学 | 英語学習 |
|---|---|---|
| 学習目的 | 概念形成・言語能力構築 | ラベル変換 |
| 必要能力 | 書けること | 即時に思い出せること |
| 有効な練習 | 書く | 想起する |
| 評価軸 | 書けるか | 使えるか |
前提が違うのに、やり方を同じにしているのです。
なぜ「書くと覚えた気になる」のか
私たちにとって書いて覚えるというのは
- 幼少期からの学習記憶
- 学校教育で評価されてきた方法
- 努力が可視化されやすい
という観点で、とても気持ちが良い覚え方であるのは間違いありません。
しかしそのやり方を慣れているからという理由で選んでしまうと、
効率の面で問題も出てきます。
書くより効果の高い学習法
本当に効率が良いのは覚えるではなく、「触れる」です。
以下のようなイメージを持って勉強する
英語 → 日本語を即答する
- 見た瞬間に意味が出るかを確認
イメージを思い浮かべる
- 書かなくていい、言えればいい
それでも「書く」が有効な例外
もちろん書くことが必ずしも悪いことではありません。
- スペルが壊滅的な単語
- 語形変化・派生語の整理
- 最終確認として1〜2回だけ
- 本当に書かないと覚えられないタイプ
このような場合には有効になり得ます。
ただし、覚えるために書くというのは基本的にはおすすめできません。
数触れるだけでも、なんとなくどんなスペルだったかはわかるようになる人が大半でしょう。
書くことが主戦略になるのは非効率。
書くことが補助戦略になるのはアリというイメージです。
まとめ:英単語を書かないという戦略。
英単語が覚えられない原因は、努力不足ではありません。
多くの場合、「書いて覚える」という方法が、英語学習の目的と噛み合っていないだけです。
受験で求められるのは、書けることではなく、見た瞬間に意味を思い出せること。
にもかかわらず、時間と労力のかかる書き取りを主戦略にしてしまうと、継続性も復習効率も下がってしまいます。
英語学習は、母語を身につける学習とは前提が違います。
必要なのは概念形成ではなく、ラベル変換です。
書くことは補助として使えば十分。
何度も触れ、即答できるかを確認する学習に切り替えることが、英単語を「使える知識」に変える近道です。


