「耳が痛い話」が、あなたを救う 〜受験生にこそ必要な“諫言”という力〜

受験期には自分のやり方に自信が出てくると、他人の意見をつい「雑音」に感じてしまうことがあります。
しかし、その「耳が痛いひと言」が、あなたを合格へ導くヒントになることもあります。そういった、成果に繋がる周りからの厳しい意見を“諫言(かんげん)”といいます。
諫言はあなたのためを思ってあえて苦言を呈してくれる言葉のことです。自分では見えていない“盲点”を突いてくれる存在。これは、あなたの努力を否定するものではありません。むしろ、「このままではもったいない」「もっと良くなるはずだ」という期待の裏返しなのです。
それでも、なかなか周囲の意見を聞くのは難しいことです。この記事では、諫言を聞きいれないと陥る現象・聞き入れられないメカニズム・良い諫言の要素について解説していきます。
目次
諫言を聞けなかった人たちの末路
歴史には、諫言を無視したことで悲劇を招いた人物や風刺が数多く存在します。受験勉強と歴史は無関係に見えるかもしれませんが、判断ミスによる“敗北”という意味では、共通点が多いのです。
秦の始皇帝
始皇帝は、漫画『キングダム』にも登場する、中国初の統一国家を築いたカリスマです。強力な中央集権体制を作り、国を治めましたが、その晩年は迷走の連続でした。
彼は「不老不死」を信じ、錬金術師や偽科学者の話にばかり耳を傾け、忠実な家臣たちの進言には耳を貸しませんでした。その結果、後継者選びにも失敗し、彼の死後、わずか15年で秦は滅びます。
✅ 教訓:自分に都合の良い話ばかりを聞くと、やがて判断を誤る。
受験でも、「この教材で大丈夫」「今のやり方を貫けばいい」と安心したくなる時があります。そんなときこそ、厳しい声に耳を傾けるべきなのです。
裸の王様
皆さんも一度は読んだことのある『裸の王様』はおとぎ話でフィクションですが、実は現実にも似たようなことは起こっています。
誰もが「王様、服着てないですよ」と言えなかったのは、王様に逆らえなかったから。でも最終的には、子どもが「王様、裸だよ」と叫び、取り返しのつかないタイミングで現実が露わになります。
✅ 教訓:地位や自信に胡坐をかくと、真実が見えなくなる。
受験生が「自分は成績上位だし」「先生より自分の勉強法の方が合ってる」と思ってしまった瞬間、周囲のアドバイスは届かなくなります。それは、見えない“裸の王様状態”かもしれません。
足利義政と応仁の乱
室町幕府8代将軍・足利義政。文化人としては有名ですが、政治的には無関心で、家督争いが起こるという忠告にも耳を貸しませんでした。
その結果、応仁の乱が勃発し、京都は焼け野原に。そこから日本は、100年にわたる戦乱の世=戦国時代に突入します。
✅ 教訓:無関心は罪。聞くべき声を無視すると、未来が崩壊する。
「今は面倒だから後で考えよう」と、計画の修正を先送りにすること。これも一種の“聞く耳を持たない”姿勢です。現実は、待ってくれません。
諫言を受け入れられない思い込み
ところで、なぜ人は“諫言”を無視してしまうのでしょうか? それには、いくつかの思い込み(心理的バイアス)が関係しています。
現状維持バイアス
人は、現状を変えることに強い不安や抵抗感を持ちます。たとえ非効率な勉強法でも、「慣れているから」「これまでやってきたから」という理由で、続けてしまいます。
諫言を受け入れることは、やり方を見直すこと。つまり、変化を受け入れることです。
しかし、その変化が怖い。そのため、「いや、今のままでいける」と思い込みたくなり、現状の自分を維持するために努力してしまうのです。

確証バイアス
自分の信じたいことだけを集め、都合の悪い情報を無視する傾向もあります。 「この参考書で受かった人もいるし」「自分もたまに成績伸びてるし」と、自分の信念を裏付ける材料ばかりを見て、諫言を跳ね返してしまう。
結果、本当に必要な助言を“ノイズ”扱いしてしまうのです。
プライドや完璧主義
「自分のやり方が間違っている」と認めることは、受験生にとって時にとてもつらいことです。 努力してきた過程や自分の能力を否定されたように感じるからです。
でも、諫言は人格の否定ではありません。未来の可能性のために、方法を変えるという選択肢を増やしてくれるものです。
こうした思い込みを自覚できるだけでも、視野は大きく開けてきます。
受験生に必要な“諫言”とは?
- 「その参考書、まだ君の今のレベルには合ってないよ」
- 「計画立ててるけど、まず実際にやってみてデータを集めた方が良いかも」
- 「基礎を理解せずに解きまくっても、答えを覚えるだけであまり効果は無いかも」
こうした言葉は、ときに「否定された」と感じてしまうかもしれません。でも、それはあなたを合格に近づけるヒントかもしれないのです。
受験生は誰でも不安です。不安だからこそ、自分のやり方に固執したくなります。そして「これで合ってるはず」と自分に言い聞かせながら進んでしまう。
でも、第三者の視点は時に、あなたの見えない落とし穴に気づいてくれます。それが“諫言”なのです。
良い諫言の5要素
ただし、なんでもかんでも相手の言うことを聞く必要はありません。
ただの小言と、心に届く諫言には大きな違いがあります。以下の5つの要素が含まれた助言をしてくれる人を周囲に従えることができるのが理想的です。
敬意(Respect)
あなたを否定するのではなく、信頼しているからこそ伝える姿勢
例:「あなたのこれまでの努力はとてもすごい大前提で、恐縮ながら申し上げますが…」
相手の努力や人格をリスペクトした上での忠告は、自然と受け入れやすくなります。受験生としても、「この人は本当に自分のことを見てくれているんだ」と感じられるような言葉にこそ、耳を傾けてほしいのです。
勇気(Courage)
言いにくいことを逃げずに、関係を壊す覚悟で伝える意志
例:「この件については、異なる見解を持っています」
あなたの親や先生、友達がもし「それ今のままだと危ないよ」と言ってくれたら、それはあなたの将来を真剣に思っているからです。
逆に言えば、あなたに無関心な人は、間違っていても何も言いません。勇気を出してくれる人の声は、価値があります。
論理性(Logic)
感情ではなく、事実と理由に基づいた冷静な分析
例:「このやり方だと定着率が下がる傾向があり、過去の受験生Xも同様ですし、理論的にもこう言われています。」
諫言には、「なぜそう思うのか」という明確な理由が必要です。良いアドバイスは、論理的で、過去の経験やデータに基づいているものです。
あなた自身も、感情だけで反発せず、論理的に耳を傾けてみましょう。
配慮(Tact)
あなたの感情に寄り添いながら、言い方やタイミングに工夫を
例:「別の角度から見ると、もっと効果的な方法があるかもしれません」
頭ごなしに否定するのではなく、たとえ話や婉曲な表現を用いて伝えてくれる人がいます。そうした「配慮のある言葉」は、あなたのモチベーションを守りながら、進路を軌道修正してくれるはずです。
代替案(Alternative)
ただ否定するのではなく、「こうすればいい」まで示してくれる
例:「この問題集が合わないなら、レベルを下げて基礎から固める方法もあります」
単なる否定では、人は動けません。良い諫言は、「じゃあどうすればいいのか?」まで示してくれるものです。
あなたも「この人は否定したいんじゃなくて、助けようとしてくれてるんだ」と気づけるようになります。
諫言を受け入れることは、「弱さ」ではない
「他人の言うことに左右されたくない」「自分の意思で決めたい」──その気持ちは立派です。
自律的に行動ができているという実感が、自信や行動に繋がるとする研究も数多く出ています。
でも、受験という大海を航海するには、自分の視界だけでは限界があります。
耳が痛い話ほど、価値がある。
あなたを否定するためではなく、救うための声。それが諫言です。
まとめ
ここまで、諫言が現状を打破するために重要であることと、5つの要素を考慮した諫言が重要であることを解説してきました。
私たちCOMPASSでは、
・コーチングの技術で、諫言を受け入れにくい考え方を調整する
・組織心理学や認知科学の立場から、論理的な根拠のある諫言を実施
・進んで諫言されたくなるような心理状態をゲーム化を通して実現
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