モチベーションとは?人を動かす「アクセル」と「ブレーキ」

はじめに:やる気が出ないのは、意志が弱いからではない

「やらなきゃ」と思っているのに、なぜか動けない。
「理想の自分を描いたのに、行動が続かない」。

そんな経験は誰にでもあります。

でも、それはあなたの意志が弱いからではありません。
人間の脳には、“変化よりも安定を選ぶ”という性質があります。
この性質が「現状維持バイアス」と呼ばれるもので、
私たちはいつも「変わりたい」と「このままでいたい」のあいだで揺れています。

モチベーションとは、実はその揺れの中から生まれる力です。
“前へ進むエネルギー”だけでなく、
“今の自分に戻ろうとするエネルギー”も含めた、もっと広い仕組みなのです。

本記事では、モチベーションの基本的な構造をやさしく解説し、
今日から使える「動きやすくなる考え方」まで紹介します。


モチベーションとは何か?

ここではモチベーションをこう定義します。

モチベーションとは、「目標に向かって行動を始め、続け、調整する心理的な仕組み」である。

つまり、やる気とは単なる“感情”ではなく、
行動を生み出す心のエンジンの働きそのものです。

このエンジンには、大きく2つの方向があります。
ひとつは「理想に近づこうとする前進の力(アクセル)」。
もうひとつは「現状を保とうとする安定の力(ブレーキ)」。
この2つの力がせめぎ合うことで、人の行動は形になります。


モチベーションの構造:3つの力でできている

モチベーションを理解するうえで重要なのは、
それが「1つの力」ではなく、3つの要素のバランスで成り立っていることです。


推進の力(前へ進みたい)

新しいことを学びたい、目標を達成したい
そんな気持ちを生むのが「推進の力」です。
好奇心、成長意欲、達成感などがこの領域に含まれます。

この推進力は、設計次第で全く左右されます。
例えば目標を立てる際には、達成目標理論における熟達接近目標を設定することが、
目標達成確率を高めることがわかっています。

推進力は決して気合いで生み出されるものではありません。


抑制の力(現状を守りたい)

人は変化を恐れる生き物でもあります。
「失敗したくない」「恥をかきたくない」などの気持ちは、
変化よりも安定を優先する“抑制の力”から生まれます。
この抑制力のことは、現状維持バイアスといいます。

私たちはモチベーションというとポジティブな前に進むものというイメージがあるかと思いますが、
実際には理想の状態から現状に向かって引き戻す強烈な力のこともモチベーションと呼びます。

人間の脳は、変化を「危険」と判断する傾向があります。
どんなに良い変化でも、“未知”である限りストレスを感じるのです。
だから、「理想の自分になりたい」と思っても、
無意識のうちに現状へ引き戻されようとします。

この「引き戻しの力」は悪いものではありません。
むしろ、生き残るために必要な安全装置でした。
ただし、現代ではその反応が“学びや挑戦”の邪魔をすることがあります。


意味づけの力(なぜそれをやるのか)

推進と抑制のせめぎ合いの中で、
「それでもやろう」と思えるのは、“意味”があるからです。
この「意味づけの力」は、やる気の方向を決めます。
誰かに期待される、自分にとって価値がある
その「理由」を再確認すると、エンジンが再び動き出します。
この作業はクラフティングと呼ばれます。


まとめると、
モチベーション = 推進 − 抑制 + 意味づけ
のように、3つの要素のバランスで決まると言えます。



歴史的背景:人を動かす「外からの力」と「内からの力」

そもそも、このモチベーションの歴史はそれほど長いものではありません。
モチベーション研究の出発点は、1920年代のアメリカにおける「ホーソン実験」です。
この実験で、人は“監視や命令”ではなく、「注目される」「認められる」ことで動くことが明らかになりました。

その後、1970年代にエドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した
自己決定理論(Self-Determination Theory)」では、
やる気を高める3つの要素が示されました。

  • 自律性:「自分で決めた」と感じられる
  • 有能感:「できた」と感じられる
  • 関係性:「誰かとつながっている」と感じられる

この3つが満たされると、人は外からの報酬がなくても自然と動けます。
ただし、どんなに内発的に動ける人でも、
「現状を守りたい」というバイアスは完全には消えません。

歴史と研究が導いた1つの仮説としては、
モチベーションとは“外から与える”とも、“中から湧く”とも言い切れず、
両者のあいだを行き来する動的なバランス
と考えるのが現実的です。
基本的には内発的動機づけが重要ですが、現状維持バイアスから抜け出すための外部支援も必要となってくるのです。


今日から動くための3つの工夫

目標の距離を調整する

理想が遠すぎると脳は危険を感じます。
「今の自分にも届きそう」と思える距離感にすると、推進力が戻ります。

ただし、大きな目標がNGと考えるのは早計です。
目標が大きいことではなく、「遠いと感じていること」が問題なのです。

目標の距離を調整するために、大中小のツリー状の目標を設定することなどが重要となります。

達成を見える化する

「できたこと」を小さく記録していくと、有能感が育ちます。
COMNAVIなどのように、学習ログを自動で可視化する仕組みも効果的です。

人と共有する

誰かに見てもらう、報告する。
それだけで「関係性」の力が働き、行動が持続します。
これはホーソン実験が示した“承認の効果”と同じ構造です。


まとめ・展望:モチベーションは「動き続けるバランス」

  • モチベーションとは、目標に向かって行動を起こし、続け、調整する力。
  • 推進・抑制・意味づけの3つの要素が影響し合う。
  • 現状維持バイアスは敵ではなく、理解すべき自然な反応。
  • 目標の距離・進捗の可視化・関係性の活用で動きやすくなる。

AI時代、モチベーションは“数値化できる人間性”として再び注目されています。
COMNAVIでは、学習の進み具合などのデータをもとに、
モチベーションの波を分析し、次の行動を提案します。

5分で登録でき今すぐに無料でお試しいただけます!