OISTって何?東大を超えた?日本で唯一の内閣府が作った大学院大学

要約

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、沖縄県恩納村にある理工学分野の博士課程を提供する大学院大学です。学際的な研究と国際性を重視し、世界最先端の研究環境を整えています。全授業が英語で行われ、学生の約半数が外国籍という国際的な学習環境が特徴です。国からの充実した資金援助により、学費免除や奨学金制度が整っており、研究者としてのキャリアを築くための強力な支援体制が整っています。

マトリクス

  • 一般受け(知名度・偏差値)
    • 国内の大学ランキングでは一般的な知名度は高くないが、研究機関としての評価は世界的に高い。
    • 伝統的な偏差値評価では測れないが、入学は非常に競争率が高い。
  • 独自性
    • 日本国内の大学とは異なり、英語を共通言語とした完全な国際環境。
    • 特定の学部・専攻を持たず、学際的な研究が推奨される。
    • 政府の強力な支援を受け、潤沢な研究資金を確保。

注意点

  • 一般ウケと特殊性は、どちらも大学の優劣を判断するものではありません
  • 一般ウケが高い大学は難易度が高く、やりたいことが既に決まっている場合には、最適な価値判断にならない可能性もあります
  • 特殊性のある大学はやりたいことがある人にはマッチしますが、無い人にはつらい可能性もあります

概要

OISTは、日本政府の主導で設立され、世界水準の研究を推進することを目的とした大学院大学です。研究と教育の枠組みが柔軟で、伝統的な学部や学科の区分を設けず、学生は自身の研究テーマに応じて指導教員を選び、学際的なアプローチで学ぶことができます。

大学HP:
https://www.oist.jp/ja

キャンパスは沖縄県恩納村に位置し、美しい自然環境に囲まれています。研究設備は最先端のものが整っており、国内外の優秀な研究者が集まる場となっています。

学科

OISTは伝統的な学科制度を採用せず、以下のような多様な研究分野が横断的に行われています。

  • 物理学・化学
  • 数学・計算科学
  • 分子・細胞生物学
  • 神経科学
  • 環境・海洋科学
  • 工学・ロボティクス

学生は一つの分野に限定されず、異なる専門の研究者と協力しながら研究を進めることが可能です。

卒業生

OISTの卒業生は、国内外の大学・研究機関でポストドクターとして研究を続けたり、民間企業の研究開発部門で活躍しています。また、スタートアップ企業を立ち上げる卒業生もおり、OIST自体も起業支援プログラムを提供しています。

また、卒業生では無いですが、2022年にはスバンテ・ペーボ教授が、絶滅したヒト科のゲノムと人類の進化に関する発見を評価されて、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

強み

  1. 学際的な研究環境
    • 分野の垣根を超えた研究が可能で、新しいアイデアを生み出しやすい。
      • 沖縄独自の研究環境である環境科学セクション(ESS)などを整備
      • ユネスコ世界自然遺産登録地の保全管理について、協力・連携を目的とした協定を締結
  2. 国際的な環境
    • 学生・教員の半数以上が外国籍。
    • 英語が公用語として使用され、グローバルな研究ネットワークを築くことができる。
      • 図書館の本は基本的に英語
  3. 充実した研究資金と設備
    • 日本政府からの豊富な助成金により、研究環境が充実している。
    • 最新の研究機器を自由に使用可能。
  4. 奨学金制度と学費免除
    • 博士課程の学生には学費全額免除と生活費支援が提供されることも。

弱み

  1. 知名度の問題
    • 国内の一般的な大学ランキングにはほぼ登場せず、日本国内での知名度はやや低い。
  2. 地理的なハンデ
    • 沖縄県に位置するため、本土の研究機関や企業との連携が物理的に難しい場合がある。
  3. 学士課程がない
    • 学士からの一貫した教育を受けられないため、外部からの博士課程入学が必須。
      • ※大学を卒業した後に通う大学という意味です。

ただし、堀江貴文氏のYoutubeで取り上げられるなど、着実に知名度は高まってきています。

こういう人におすすめ

  • 国際的な環境で学びたい人
    • 多国籍なコミュニティで英語を共通言語として研究したい。
  • 学際的な研究に興味がある人
    • 物理・化学・生物・計算科学などの異なる分野を組み合わせた研究をしたい。
  • 安定した研究資金のもとで研究に集中したい人
    • 学費免除や生活費支援を受けながら、最先端の設備で研究に打ち込みたい。
  • 起業したい人
    • 潤沢な資金・技術・関係性を用いて、起業を有利に進めたい。

キャリア

OISTの卒業生は、以下のようなキャリアパスを歩むことが多いです。

  1. アカデミア(大学・研究機関)
    • 国内外の大学でポストドクターや助教として研究を継続。
  2. 企業の研究開発部門
    • 製薬、バイオテクノロジー、AI・データサイエンス分野などで活躍。
  3. 起業
    • OISTの起業支援プログラムを活用し、スタートアップを設立。

学費

OISTの博士課程の学生は、以下のような手厚い支援を受けることができます。

  • 学費全額免除(通常、年間約500万円)
  • 生活費支援(年間約200万円)
  • 研究費補助
  • 渡航費補助(海外からの学生向け)

実際に学費がかかる場合、年間約500万円の費用が発生しますが、OISTの博士課程の学生は全員、学費免除の対象となるため、基本的に自己負担はありません。また、生活費補助として年間約200万円が支給されるため、経済的な負担をほぼゼロに抑えながら研究に専念できる環境が整っています。

まとめ

OISTは、学際的な研究環境、国際性、充実した研究資金を備えた、日本国内でもユニークな大学院大学です。沖縄という地理的な制約や知名度の課題はあるものの、研究に打ち込める環境としては世界トップレベルです。博士課程を目指す学生にとって、OISTは非常に魅力的な選択肢の一つとなるでしょう。