受験勉強において、英語の発音は覚えるべきなのか

目次
はじめに:覚えたのに全く英語が読めない・聞き取れない
単語帳は覚えた。
文法も一通りやった。
問題演習もそれなりに積んでいる。
それなのに、
- 長文を読むと異様に疲れる
- 一文一文は分かるのに、全体がつながらない
- リスニングは最初の数語で置いていかれる
こんな感覚はありませんか。
多くの受験生は、ここでこう考えます。
「処理速度が遅いのかもしれない」
「語彙力がまだ足りないのかもしれない」
「もっと演習量を増やすしかない」
ですが、この違和感の正体は、知識量ではなく、英語の認識の仕方にあります。
そして、その分かれ目が「母音」です。
この記事では、
- なぜ母音を押さえない英語はしんどくなっていくのか
- 母音が抜けると、英語がどんな認知負荷を生むのか
- 受験勉強として、どこまで母音をやれば十分なのか
を、学習設計の観点から整理します。
なぜ英語は「分かっているのに処理できない」のか
英語が重く感じるとき、
多くの場合、頭の中では次のことが起きています。
- 英文を文字列として処理している
- 単語を一語ずつ「翻訳」している
- 文を意味ではなく「作業」として読んでいる
この状態では、いくら知識を増やしてもスピードは出ません。
なぜなら、人間の脳は言語を本来「音のかたまり」として処理するからです。
つまり、
英語を英語として処理できていない
このズレが、学習全体を重くしています。
母音を外した英語は「音のない言語」になる
ここで重要なのが母音です。
日本語の母音は5つ。
しかも、音の幅が狭い。
一方、英語の母音は数が多く、
母音そのものが意味の境界を作る言語です。
にもかかわらず、日本語話者は無意識に、
- すべての母音を「あ・い・う・え・お」に寄せる
- 似た音を同一視する
- 母音の違いを情報として扱わない
という処理をします。
その結果どうなるか。
英語が、
- 音として立ち上がらない
- 単語が“形”を持たない
- 記号の羅列に見える
つまり、意味以前の読み取りや聞き取りの情報処理の段階でつまずくのです。
子音が多少ズレても読めるのに、母音がズレると崩れる理由
興味深い話があります。
日本語話者がL と R を多少聞き間違えても、
文章理解が完全に破綻することはあまりありません。
ところが、
- 母音の位置
- 母音の長さ
- 母音の種類
を取り違えると、単語そのものを認識できなくなることが急増します。
これは、英語が
子音で骨格を作り
母音で意味を分節する言語
だからです。
母音を曖昧にした英語は、
骨組みだけ見て中身を推測する状態になります。
それが、
- 推測頼みの読解
- 勘に依存したリスニング
- いつまでも安定しない語彙
につながります。
発音の問題ではない。言語の読み込み方の問題
ここで強調しておきたいのは、
これは「きれいに発音できるかどうか」の話ではないという点です。
問題なのは、
- 母音を区別して聞けるか
- 単語を音の単位として認識できるか
- 頭の中で“音つきの語”として保持できるか
という、認知に関するところです。
発音が苦手でも、母音の区別ができれば英語の苦手意識はドンと軽くなります。
逆に、発音を避け続けると、
英語はいつまでも負荷が重たい科目であり続けます。
受験勉強としての母音学習は、どこまでで十分か
ここでよくある誤解があります。
「母音をやる=発音を完璧にする」
「国際音声記号を全部覚える」
ここまでやる必要はありません。
重要なのはフォニックスなどの技法を用いてなるべく簡単に発音学習を終わらせることです。
受験勉強として必要なのは、
- 母音が1種類ではないと知っている
- 同じ a でも音が変わると分かっている
- 単語を見ると、だいたいの音が浮かぶ
このレベルからでも大丈夫です。
つまり、母音を“識別できる対象”として扱えるかが到達点です。
母音を入れると、学習全体がどう変わるか
母音の認識が入ると、
英語学習には次の変化が起きます。
- 単語暗記のタイミングから発音を区別できる
- 音読が処理訓練として重要な武器になる
- リスニングでパニックになりにくい
- 英文を読んだときの疲労感が減る
これらはすべて、英語を音のある言語として扱い始めた結果です。
努力量が大幅に増えたわけではありません。
設計が変わっただけですが、それでも大きな成果に繋がります。
まとめ:母音は後から付け焼き刃で対応するものではなく、最初に効率良くこなすもの
英語において発音は重要ですが、丁寧に完璧にこなすものではありません。
ただし、母音を考慮しない英語学習は、後々の負債を残します。
適切な形で発音の勉強ができるかどうかは、才能の差ではなく、
効率良くこなせるかどうかがの差です。
まずは今日から、
この単語、母音は1種類じゃないな
そう意識するだけで構いません。
そして、段々と聞き取れる母音を増やす。
そうすることで、英語が「意味のある音」として
少しずつ立ち上がり始めます。


