「読むだけ」では定着しないー成績を伸ばすカギは「想起練習」にあった!

目次
はじめに
「何度も教科書を読んでいるのに、テストになると全然思い出せない…」
「この公式、昨日見たはずなのに…」
そんな経験、ありませんか?
これはあなただけの問題ではありません。
「読み返す」だけの学習は、記憶定着に非常に効率が悪いのです。
一方で、近年の学習科学では 記憶を定着させる最強の手法がはっきりわかっています。
それが「想起練習(Retrieval Practice)」です。
もしあなたが、今の勉強法に +αでこの考え方を取り入れるだけで、
記憶定着率が1.5〜2倍になる可能性があります。
この記事では、
- 想起練習とは何か?
- なぜ効果が高いのか?
- どうやって実践すればいいのか?
を、受験勉強に即した形で詳しく解説していきます。
想起練習とは何か?
定義
「想起練習」とは、覚えたことを意図的に思い出す行為そのものが、記憶を強化するという学習法です。
例えば:
- 英単語の意味を ノートや教科書を見ずに思い出そうとする
- 歴史の流れを 白紙に書き出して説明してみる
- 数学の公式や定理を 問題を解きながら再構築する
重要なポイント
「思い出そう」と脳に負荷をかけることが記憶の定着を促します。
単に「見る」「読む」だけでは、情報が受動的に流れていくだけです。
自分の脳から一度引き出してみること(想起)で、
記憶に関わる神経結合(シナプス)の再強化が起き、長期記憶として残りやすくなるのです。
科学的根拠
複数の研究で次のことが示されています:
- 普通に読むだけ → 定着率は限定的
- 想起練習を取り入れた場合 → 1.5〜2倍の定着率
例えば、Roediger & Karpicke(2006)の有名な実験では、
- 教科書を4回読むだけのグループより、
- **1回読んで3回テストする(想起練習)**グループの方が 1週間後のテスト結果は圧倒的に良かった。
この効果はほぼすべての教科(言語・理系・社会・実技系)に共通して観察されています。
なぜそんなに効果が高いのか?
脳の仕組み
- 記憶は、**ニューロン間の接続(シナプス結合)**として保存されています。
- 情報をただ見ているだけでは、一時的な結合しか作られません。
- 思い出す作業(想起)を繰り返すと、その結合が強化・安定化されます。
そのため、思い出すたびに記憶の「道」が太くなるイメージです。
反対に、見ているだけ・聞いているだけでは、その道は細いままで崩れやすいのです。
どうやって実践する?(具体例)
「じゃあ、どうやって普段の勉強に取り入れればいいの?」
→ 難しく考えなくて大丈夫。すぐにできる方法がたくさんあります。
自作ミニテストを解く
- 単語帳や歴史のまとめノートを見たあと、自分で問題を作って解いてみる。
- 解く→答え合わせ→また解く を繰り返す。
白紙アウトプット
- 覚えた内容を 白紙に書き出す。
例:歴史の流れ、英作文、数学の公式の証明など。
説明してみる
- 家族や友人に「この内容ってこうなんだよ」と 説明する練習をする。
- 自分で解説動画を撮ってみるのも◎。
暗記カード活用
- ライトナーシステムなどの 間隔反復+想起練習は非常に効果的。
- 知らない問題は早めに復習、わかるものは復習間隔を空けていく。
なぜ受験生はあまりやっていないのか?
「そんなに良いなら、なぜみんなやってないの?」
答えは単純で:
- 「読む」ほうがラクだから
- 想起練習は一瞬苦しいから(「思い出せない感」がある)
です。しかし、その「思い出せない…!」という負荷が 最高の学習効果を生んでいるのです。
間違えてもいい、思い出そうとすること自体が価値だと知っておきましょう。
受験生の敵は、周囲の受験生ではありません。受験生自身の現状を維持したいという思い込みなのです。
おわりに
「読むだけ」では成績は伸びません。
あなたのライバルが「読み返す勉強」にとどまっている今こそ、想起練習で一歩リードするチャンス。
ちょっと苦しい「思い出す練習」が、合格の確率をぐんと引き上げてくれるはずです。
ぜひ今日の勉強から取り入れてみてください!